不動産サブリースに関係する制度

1 賃貸住宅管理事業者登録制度(国土交通省)

 賃貸住宅の管理業者は全国に多数いますが、この管理業には宅地建物取引業法の適用は無く、その他業務を取り締まる法律はありません。

 そこで、国土交通省は、平成23年に賃貸住宅管理事業者登録制度を設立しました。この制度は、賃貸住宅の管理の他、サブリース事業も対象にしています。この登録をしなくても、賃貸住宅の管理等はできますが、登録した業者は、業務の適正化について、国土交通省が定めルールを守らなければならず、これに反すると指導を受けたり、登録を抹消されることもあります。

 この登録を受けているかどうかは、業者の業務に対する姿勢を確認する一つの目安になります。 

制度の概要(国土交通省のサイトへ)

登録事業者一覧(国土交通省のサイトへ)

登録事業者のシンボルマーク(国土交通省のサイトへ)

 

2 特定商取引法

 不動産サブリースに関するアパート建築請負契約は、自宅を訪問して勧誘がなされるなど、業者の事務所ではない場所で勧誘や契約がなされることがあります。この様なケースでは、場合によってですが、特定商取引法が適用されないか検討する価値があります。

 特定商取引法は、訪問販売や電話勧誘販売など、問題の起こりやすい商法を規制する法律ですが、無条件で契約を解除できる「クーリング・オフ」を定めている法律でもあります。

 平成21年12月1日以降に、特定商取引法の改正がなされ、建築請負契約も同法の対象になっています。同法は、「営業のためにもしくは営業として」契約する場合には適用されない、という規定もおいていますが、何もよく分からないままに一棟目のアパートの建築契約を締結させられたなどの場合には、クーリング・オフできる可能性は十分あります。

 また、同法は、虚偽の説明をしたり、不当な勧誘をした業者を取り締まる規定も置いていますから、おかしな勧誘があったと思われたら、消費者庁等に相談していただくことも、同種被害を予防することにつながります。

 

不動産サブリース被害に関する文献

 単行本

「中小事業者の保護と消費者法─ドロップシッピング、提携リース、フランチャイズ、不動産サブリースをめぐって─」(近畿弁護士会連合会・大阪弁護士会編、民事法研究会、2012年) 出版社のサイトへ

 近畿弁護士会連合会30回大会シンポジウム「中小事業者の保護と消費者法~契約弱者の救済にむけて~」の報告とパネルディスカッションの内容を書籍化したものです。サブリース被害弁護団の団員も執筆・編集に参加しています。不動産サブリース被害に関する判例紹介や、被害事例の紹介、契約書の比較なども収録しています。

 

 雑誌記事

 ・現代消費者法(2012年3月発行)

 「Q&A消費者被害救済の法律と実務[13]不動産サブリースの問題点(三浦直樹)」不動産サブリース被害の問題点、対処法について記載しています。 出版社のサイトへ

 ・週刊金融財政事情(2012年8月13日号)

 「『レオパレス問題』で浮き彫りになる将来リスク」と題して、不動産サブリース被害についてとりあげられています。記事に出てくる「サブリース問題研究会」は、当弁護団の前身です。 出版社のサイトへ

 ・週刊金融財政事情(2013年11月25日号)

 「サブリース規制法の制定を提言する(三浦直樹)」サブリース被害を踏まえ、あるべき法規制について提言を行っています。 出版社のサイトへ

 ・消費者法ニュース94号(2013年1月発行)

 「サブリース規制の必要性について(西木秀和)」サブリース被害を防止するため必要な立法についての提言を行っています。 出版社のサイトへ 

 ・消費者法ニュース97号(2013年10月発行)

 「サブリース会社の収益悪化によるアパート借上の一方的解除(西木秀和)」実際に弁護団で担当したサブリース被害案件についての和解報告と、サブリース被害の問題点を整理しています。 出版社のサイトへ

 ・国民生活№25(2014年8月発行)

 独立行政法人国民生活センターの発行する『国民生活』で、サブリース問題に関する特集が組まれています。当弁護団の三浦弁護士が「不動産サブリースの問題点」と題して、川本弁護士が「事例から見る不動産サブリース被害」と題して、それぞれ記事を執筆しました。 

 三浦弁護士「不動産サブリースの問題点」(国民生活のページへ)

 川本弁護士「事例から見る不動産サブリース被害」(国民生活のページへ)

 ・現代消費者法(2017年9月発行)

 「サブリース被害救済の実務―トラブル類型別の対応―(三浦直樹)」これまでの弁護団の活動を踏まえ,被害類型別に救済法を論じています。 出版社のサイトへ

不動産サブリースに関するブログ等

とある明石の弁護士、つれづれ日記 

 当弁護団員である西木秀和弁護士のブログです。レオパレスとの訴訟経過(和解成立済)をリアルににつづっています。 ブログへ

大阪日日新聞(2013年2月22日)

 当弁護団団長である三浦直樹弁護士が、大阪日日新聞にコラムを寄せています。 新聞社サイトへ 

不動産サブリース被害に関する国会質疑

・第183回国会 衆議院予算委員会第一分科会 平成25年4月15日

 宮本岳志議員より、サブリース被害についての質問がなされました。

 同委員会議事録へ(ページの末尾に出ています。「サブリース」等で検索して下さい)。

 ・第193回国会 衆議院予算委員会第八分科会 平成29年2月22日

 鈴木義弘議員より、建築サブリース型契約によってアパートの供給が過剰になっている問題をとらえ、金融機関の融資の有り方と金融庁の考え方について質問がされました。

 同委員会議事録へ(ページの中ほどに出ています。「サブリース」等で検索して下さい)。

・第193回国会 衆議院財務金融委員会 平成29年5月10日

 宮本岳志議員より、黒田東彦日本銀行総裁、川口康裕消費者庁次長らに対し,サブリース問題についての質問がされました。政府対応が不十分だという指摘もなされています。

 同委員会議事録へ(ページの終盤に出ています。「サブリース」等で検索して下さい)。

・第193回国会 衆議院国土交通委員会 平成29年5月24日

  本村伸子議員より、サブリース被害についての質問がなされました。

 同委員会議事録へ(ページの終盤に出ています。「サブリース」等で検索して下さい)。

サブリースに関する意見書・立法提言

 日本弁護士連合会が、「サブリースを前提とするアパート等の建設勧誘の際の規制強化を求める意見書」を取りまとめ、2月19日付けで国土交通大臣及び内閣府特命担当大臣(金融)に提出しました。

 ①サブリースを前提とした建物建築において、建築請負契約締結前に一定の事項についての説明義務を建設業者に課すこと、②賃貸住宅管理業者登録制度を義務的登録制度とすること、③金融機関にも融資に際して一定の説明義務を課すことなどが趣旨とされています。 日弁連のサイトへ  意見書全文(PDF)

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